バザール…取り分け大通りは、大抵いつでも賑やかで、人通りのない時間、てのがかえって思い浮かばないぐらいだ。
久し振りに仕事をして、その帰り道、それほどおっきくない酒場に寄ったら、カウンターのカゴに見慣れない果物が積まれてた。うすい桃色が綺麗だったけど、街でもあんまり見かけない種類だと思ったな。
店員さんに聴いてみたら、都じゃあんまり仕入れない果物で、今日仕入れてきたばっかり、って話だった。
それを使ったジュースができるって言うから頼んだところで、久し振りに会うナルツに声をかけてもらったんだ。
仕事で城塞に来てるんだそうだ。そういえば、彼女とは前にもこっちで出会ったことがある。こっちに縁が深いんだろうか。
どんなジュースが来るか、俺は甘くてすっきりしたの、ナルツは濃い味の、って予想をして、勝った方が奢るって賭けをしたら、深くて濃い赤色の、甘くてすっきりした味のジュースが出てきた。
どっちも正解、だから、勝負は引き分け。
結局お互いに一杯ごちそうしあったんだよね。
ナルツは自分があんまり視線を集めないって言ってたけど、
そんなことないと思う。
長くて綺麗な銀の髪、こと城塞では、目立って視線を惹くんじゃないだろうか。
■城塞の都・都のバザールにて■
(ナルツ)
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