俺は屋根の上が好きだけど、どうやら彼も屋根の上が相当好きらしい。
大通りに直接沿ってるところは難しいけど、ちょっと裏の路地や居住区に近い場所に入ると、上れる場所や、今は誰も住んでない家なんかがわりと多いんだ。
今夜みたく、そんなとこでのんびりしてると、偶然ロッカードに会うってことが、実はたまあにある。
今日はどうやら、ダンサーとしての自分について考えてたみたい。
考えて、それをまとめて、自分だけじゃなくてダンスで誰かを楽しませたい、って結論が出たようだった。
ついでに、それに加えていっぱい稼ぎたいー、って。
城塞じゃたくさん流れる星に、申し訳程度にそんな願いをかけて、眠気をもよおしたらしい彼に子守唄を唄う。
眠るのを誰かに手伝ってもらうのは、ロッカードには贅沢らしい。
俺がこうしている限り、彼にはその贅沢と、王様になる夢を見せてあげようか。
彼が眠るのを確かめてから、俺も竪琴を休ませて眼を閉じる。
王様のロッカードに仕える夢が見られるのかな?
………。ちょっと癪かな、なんて。
■城塞の都・都のバザールにて■
(ロッカード)

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