住む場所を自分で探して自分で決める、たぶん、それは自立と呼んでしかるべきこと。
虎の獣人であるロマは、人の姿と虎の姿、2つの顔を持っている。今日見せてくれたのは、子どもの虎さんとしての顔だった。
ひいきの果物屋さんの頭の上に乗って嬉しそうだったり、尻尾を振っている様子を見ると、まるで甘えん坊の猫さんみたいだけど(と言ったら本人には、猫じゃない、って怒られた)、どうやら安心できる自分の家を探しているらしい。
虎さんの住処と人の住処、今のところは満足できる場所は見付からないみたい。
彼がその手で、その足で、その心で、自分がどこへ住みたいのか、どこへ行きたいのかを決められると良い、と思う。さあ、それは、きっと自立への第一歩となろう。
……ま、そんなふうにしなくても、今まで独りでやってきてるわけだから、じゅうぶん自立してると思うんだけどね…!気持ちの問題かな。
とりあえず今夜は足掛かり、ひと晩の宿を提供することにした。
■城塞の都・都のバザールにて■
(ロマ)

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