「送ってくよ」というのは、「護ってあげられる」ということではない、情けないけど。
暑いと言うと雨が降る、最近の空は天の邪鬼なのかも知れない。
高級な店の立ち並ぶ商店街で降られた帰りに、騎士剣の装飾を直しにきてたシビュレと会った。
金はかかるけど、細かい細工が多いから、こういう店で頼んだ方が安心なんだって。
そんでも高級な店に通えるってのは、ちょっと羨ましいけどね…!
彼女は騎士を生業にしている。
騎士さんというのは、志と誇りがとても高い。
だから、もしかしたら俺なんかに帰り、送ってもらうの、嫌かなって思って心配になったけど…、どうやら、それは特に嫌じゃないらしい。
逆に、そんなに自分を卑下するなって、そう怒られてしまった。
少しだけ安心する。これで、送るだけじゃなくて、護る方も平気なら申し分ないんだけど…、ま、こればっかりは、職業騎士さんに任せることにしとく。
送るのは俺で、いざって時に護ってくれるのは彼女。
……。
よくよく考えれば、複雑な気がしないでもない。
■マルチルーム・高級市場にて■
(シビュレ)
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