炎が照らすところでは、夜の気は薄くなる。
ランプの炎が夜の闇を侵食して、明るくなるからだ。
月のほかにも灯ができて、そんで人は暗い道でも歩くことができる。
点灯夫さんは、それを点す大事な役割を担ってる人。
その点灯夫さんが点した炎を、手当りしだいに消して回ってる3人の子どもがいた。
影のような色の服を着て、よくよく見ると、人間のものじゃない耳や尻尾があった。
獣人さんか、魔物…の子どもだったんだろう。
人の手でカジノに捕らえられた父さんが、気配の薄い夜のせいで危ない状態だって、そんで何とかそれを助けたくて、彼らは必死で火を消して回ってたんだ。
夜は寝るためのものなんだから、明るい必要はない。
いくら夜が好きでも、そのために灯を点して、父さんを殺すな。
俺は謝ることしかできなかったけど、話を聴いたら、彼らの父さんはできるだけ早く、カジノから綺麗な空気のある砂漠に逃がしてあげないと、ますます危なくなってしまうらしい。
カジノの担当に話をつけて、ひとまず解放はしてもらうことになった。
ただ…、そのために高額を支払ったもんで、しばらくは懐が寒そう。
それから以前にもらった、何となく夜の闇を寄せる力があるハーモニカを子どもたちに貸した。
夜気を引き寄せたい時に、うまく使ってくれれば良いんだけど。
■城塞の都・都のバザールにて■
(子どもたち)
PR