子どもって、好奇心が強くて悪戯好きで、行動力があって、どこまでも純真だ。
だから、いくら遊ぶのに付き合わされてへとへとになっても、
澄んだ眼で笑って見上げられると、ひとつの文句も言えない。
こと、聖堂の孤児院にいる子どもたちってのは、
シスターの教育のおかげなんだろうか、元気な良い子ばっかり。
ジリーは俺が子どもたちの遊び相手をする前、
昼寝前の絵本の読み聴かせに来たんだそうだ。
ジリーの優しい声なら、子どもたちも大人しく眠ったかと思えば、
やっぱりどんどん次の本を押し付けられて、
なかなか寝つかなかったらしい。
疲れてただろうジリーだけど、シスターからの俺への労い、
濡れタオルを俺に届けてくれた。
(普通の届け方ではなかったけど)
それから子どもたちの話をしたり、ジリーのほっぺたの怪我
(野良猫に引っ掻かれたらしい)の話をしたり、
声の出し方の話をしたりした。
その中で俺は、ジリーが実はじゃじゃうまなのかって聴いて、
うっかり報復に遭いかけたんだけど…、
彼女はとても悪戯好きで、好奇心が旺盛で、
警戒心の強い野良猫に踏み込むくらい行動力があって、
とても純真に、まるで子どものように笑う。
だからね、たぶん俺も、孤児院の子どもたちを相手にしてる時みたいに、
そんな顔を見ると、悪戯を強く叱ることもできなくなるんだろうと思う。
誤解を生んだり怒られたりしそうだから、本人には言えないけどね。
昔は甘えられる人がいなかったけど、今はそんな仲良しの友達や
頼りになる知り合いは、いっぱいいいるらしい。
もしかしたら彼女は、今もう一度、頼れる仲間に囲まれて、
子どもの頃のような気持ちで、この街での生活を楽しんでるのかも知れない。
■山頂の大聖堂にて■
(ジリー)
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