酒は呑んでも呑まれるな、もしも呑まれたら、その時は……。
それを地でいった人が、まさか身近にいたとは思わなかった。
呪いのような、魔法のようなことが原因で喉を悪くした、
そんだけ聴いてたセタンサのお兄さんだけど、
……実は、飲み過ぎた勢いで、そん時たまたま
隣で飲んでた魔術師さんと、何やら「こと」があったらしい。
それが原因で、本来すらすらできるべき、
呪文の詠唱をする声もなくしちゃうんだから、これはもう
酒には重々注意するべきって思うんだけど……、
お兄さんによると、酒は人生の友達で、一生離れられないそうだ。
今夜だって飲み過ぎてふらふらして、
路地に詰まれてる木箱にぶつかっちゃったぐらいなんだから、
しばらく控えてくれると良いんだけどね。
あと5か月、喉に関する手立てが何も見付からなかったら、
声が出ないまま仕事に戻らなきゃならない可能性もあるんだって。
もしも俺が出先で何か手がかりを見つけたら、
急いで知らせを送らなきゃだ。
■潮風の港街にて■
(セタンサ)
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