給仕の仕事は、お客さんの望みを察して、より快適なサービスをすること。
もしかしたら、歌唄いや吟遊詩人の仕事とも、通じるとこがある……かも、知れない。
カジノで歌の仕事をもらって、終わってのんびりしていたら、たまたま飲み物のワゴンが近くにあったのと、それから俺が場所に合わせて正装をしてたので、給仕さんに間違えられて、飲み物を頼まれたんだ。
俺もカジノは初めてじゃないし、一度頼まれて飲み物を出したら、そりゃまあ連鎖はするもので、また次に飲み物を頼まれちゃった。俺は一応竪琴を持ってたんだけど…、うぅん、演奏に給仕じゃ、さすがにサービスが良すぎるっては疑わないのかな…!
それから、やっぱり連鎖を断ち切るのは難しい。
次に声をかけてきたのは、眼鏡をかけた女の子。
頼まれたのはジンジャーエール。
トヲルというその子は、俺が給仕じゃないと知ると、どうやら心配?してくれたようで(その割には自分も給仕の仕事をエンジョイしてたようだけど…)、ワゴンをバニーのお姉さんのとこに返してきてくれた。
彼女はピラミッドで冒険をしに城塞に来て、まだ着いて間もないんだそうだ。カジノも初めてだって言ってた、それなら、まだびぎなーずらっく、ってのが有効かも知れない。
俺もピラミッドに行ったことがあるって言ったら、ちょっとびっくりしてたみたい。さすがは冒険者さんの街だって言って、負けない、って言われてしまった。
冒険者さんと歌唄いとを冒険の勝ち負けで比べたら、俺が不利に決まってるじゃない…!?
…まあ、城塞にいる月日の長さだけは、ひとまず勝ち誇っておこうと思うけどさ。
■城塞の都・BIG CASINOにて■
(トヲル)

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