近くの路地をちょっと入ったとこに、良く行く店がある。
のんびりしたい時や、考え事をしたい時、それから、書き物をしたい時。とても賑やかなわけでも、とても静かなわけでもない、ゆっくり過ごせる店なんだ。
今日は手紙を書くついで。
紅茶を何杯か飲む間、時候のあいさつ(俺はいつもここで手間取る)を色々考えてたら、店に入ってきたシビュレと出会った。
ちょっと久し振りだったけど、相変わらず元気そう。
そうそう、彼女も、故郷の実家にたまあに手紙を書いたりするんだって。やっぱり親御さんや家族っては、遠くに出立してる子どもや兄弟から便りがあったら、嬉しいもんだよねえ。
その中に、俺のことも書いてくれたことがあるらしい。
実はあんまり良くないことが報告されてたらどうしよう、って心配したけど、どうやら良く書いてもらってるみたいで、ちょっと安心…!
話し込んでるうちにすっかり夕飯の時間になったから、シビュレお勧めの店に一緒に夕飯を食べに行くことにする。さすが、食べるのが好きな彼女の言う通り、量も味も値段も文句なしの店だった。
住み慣れてきたとはいえ、まだまだ知らない店もあるもんだねえ。
■城塞の都・都のバザールにて■
(シビュレ)
ずうっと考えてたけど、孤島に行く話、今回は見送ることにしたんだ。
話をもらってからしばらく経ったけど、俺がまだ自分で答えを出せないでいるし、それに、同居人もあんまり良い顔をしないようだったから。
……そりゃまあ、当たり前なんだけどね。
シスコのお兄さんには、改めて手紙を送っておいた。
聴いた話は、いずれまた今度、俺が自分であの島へ行きたいと思う時が来たら、気にして探してみようと思う。
今回の依頼で出かける冒険者さん達が、みんな無事で戻ってきますように。

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