「 赤いベルベットのソファの側で12時ごろ」
俺がもらった伝言はこれ。
カジノの余興の歌、その仕事を終えてそこへ来たときには、もう12時はまわってたけど、伝言を伝えてくれたらしい人影はなかった。
人違いだったんじゃなければ良いなと思いながらのんびりしてたら、「びりやーど」の道具を持ったお兄さんに声をかけてもらったんだ。
護衛なんかの仕事を普段からしてて、おかげでただでびりやーど遊びを楽しむことができてたそのお兄さんに、今度は俺が不思議な伝言を預かった。
伝える相手は、俺も良く知ってる傭兵のローゼマリアさん。
「カラダジは死んだ。だから、渡したものは好きにしてくれ」
……お兄さんは確かにそこにいたのに。
それを直接伝えられない事情が、きっと彼にはあったんだろう。
いつかローゼマリアさんに会えたら、それを伝えるのを忘れないようにしなきゃ。
それにしても、俺のことをお人好しお人好しって呆れてたけど、それを心配してくれるカラダジのお兄さんだって、相当のお人好しだと思うな。
お兄さんが去ってからも、特に用事もなかったし、しばらくそこでのんびりしてた。
結局俺がもらった伝言がどうなったのかは…、ふふ、内緒っ。
■城塞の都・BIG CASINOにて■
(男)
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