剣士さんが、剣を合わせて闘うことに感じるのは喜びだろうか。
俺は剣士さんではないから、正確なところは判らない。
ただ、この街には、好きじゃないのに嫌々剣を振っている人は恐らくほとんどいないだろうし、喜びとは違っても、剣を振ることに強くなる楽しみや、より強い相手と闘うわくわくした気持ちを、皆少なからず感じてるんじゃないかな、と思っている。
勿論、恐れや怯みもあるだろう。
しかし、彼らはそれでも剣士であり続けているから。
彼らにとっての剣は、俺にとっての竪琴みたいなものかな、と想像したら、キラはよくよく理解しがたい、って顔をしてたけどね。
今度の大会には、きっとそんな人達が多く集まってるんじゃないかと思う。
そんな彼らを観戦しに来たというキラは、剣士さんや他の観戦者さんよりかはずいぶん冷静で、広い視界からこのS-1を眺めているようだった。
もしも魔法使いさんの大会があったとしたら…、キラみたいに冷静な人が多いんだろうから、きっとこれほどの熱気には包まれない、って気がするね。
詩人にも酒場や商家に抱えられる専属ってのがあるけど、魔法使いさんにもどこかの所属や誰かの専属、ってなることもあるらしい。
でも、キラは自由を好むし、もしも主と俺や他の仲間たちが同時に危機を迎えたら、きっと俺や仲間を助けるだろうから、そういうのにはならない、と言った。
彼女と会うのは久し振り。
相変わらず、キラは義理人情に厚い。
■城塞の都・都のバザールにて■
(キラ)
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