向いてるか、といわれたら、このうえなく向いてる、としか言えない。
言うまでもなく俺は唄うのが好きだし、
楽器を演奏するのも好きだし、
それで聴いた人に喜んでもらえると、とても嬉しくなる。
もちろん、それだけで続けられる仕事だとは思わないけど、
それを差し引いても俺は、相当この歌唄い、って仕事が好きだ。
少なくとも、今までずうっと続けられているわけだから。
裏通りに近い小さな酒場で出会ったアイゼンのお兄さんは、
夜を慰めてくれるお姉さん達のいる店で働いてるみたいだった。
でも、その仕事を続けてきたせいもあって、
仕事以外じゃ女の人には関わりたくないー、ってぐらい
女の人が嫌いなんだって。
でも考えてみれば、アイゼンさんの仕事っては
女の人が好きだから、って就いて長く続けられるとは思わない。
好きこそものの上手なれ、なんて言うけど、
そうじゃないこともあるんだよね、こと、仕事ってものについてはさ。
アイゼンのお兄さんも、向いてると思って就いたって言ってた。
整った顔立ちをしてるから、お姉さん達にもてそうなのに
嫌いなんては勿体ないねって言ったら、笑われちゃったけどさ。
お姉さん達の娯楽に歌が役立てるときは、店へ行く約束をする。
話は通しといてもらえるそうだ。
※店の名前は「黄金旅風」
■城塞の都・都のバザールにて■
(アイゼン)
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