甘すぎるお菓子に時折スパイス。
そのバランスは絶妙だけど、食べるほうはスパイスの量を調節できない。
「ぴりっとした刺激」を俺に望んだリュオは(別段、俺が普段甘いってわけじゃないとは思うけど…)、良い意味でその予想を裏切られた、と言った。
うーん、いつもはしないことをするってだけで、スパイスの量が跳ね上がるんだ。リュオの日常は、きっと特に俺が今日みたいにしなくても、じゅうぶん刺激的に感じられているんじゃないだろうか。
ともあれ、リュオと会うのはとても久し振りだった。
商家の娘さんの護衛として、仕事でこっちに来たそうで、剣も相変わらず頑張ってるらしい。その仕事の金で果物を奢ってもらったので、そのお礼と上に書いた「刺激」の埋め合わせに、俺の知ってる美味しいお菓子の店へ案内する約束をする。
城塞にもずいぶん詳しくはなったけど、彼女の希望に添えるような店を、改めてまた探してみようかな。
それにしても…、
「ばか」「最悪」「ロクデナシ」「さいてー」「無茶苦茶」
……これだけ言っても、怒ってるわけじゃないんだそうだ。
■城塞の都・都のバザールにて■
(リュオ)
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