詩人は礼が大事だって、これは受け売りだけど、でも確か。
俺も一応、一通りのマナーは勉強してる。
だからね、きちんとした手紙を書く時は、一番最初に季節にあわせた挨拶を入れる、っていうのも知ってる。知ってるんだけど…、
いつでも昼間は暑くて夜は寒い城塞の都から、恐らく夏真っ盛りの街へ送る手紙に書き付ける挨拶を考えるのに、ついちょっと戸惑ってしまった。
俺が街からこっちへ帰ってくるときは、どうも天気が不安定で、暑くなったと思ったら雨が降ったり寒くなったり、夏って一言じゃ片付けられないふわふわした毎日だった。
今も天気は落ち着かないかな?
それとも、落ち着かないのも過ぎって、ちゃんと夏らしくなってるんだろうか。
想像しながら手紙を書いた。
最近大通りで人気の香を染みさせた紙は、季節感よりか、こっちの雰囲気を感じ取ってもらいやすいかも知れない。
■城塞の都・都のバザールにて■

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