朽ちたオアシスから、悲しげな笛の音色が聴こえてくる。
以前に都で出会ったスライマーンのお兄さんから、一言だけ聴いた話だった。
小さな隊商さんと合流させてもらって都に帰る途中、休んでたオアシスの傍に、渇いたオアシスを見つけたから、その話を思い出して覗いてたら、懐かしい顔に再会したんだ。
石作りをしてるアルト。
この街に来た頃からの友達で、戦争の前、KOGTの前、色んな時に励ましてもらった。
彼も仕事で都に向かう途中だって言うから、隊商さんたちと一緒に動かないかって誘って、そうすることにした。それまでは一人旅だったらしい。
初めて会ってから、どんだけ経っただろう。
アルトの不摂生と線の細いのは相変わらずだけど、たぶん、出会った頃よりか、俺達2人とも、大人になってるはずだよね。
そんでも、会えば変わらずに話ができるってのは、幸せなことなんだろうと思う。
これからもそれだけは、変わらずにあれば良い。
■太陽と月の砂漠にて■
(アルト)
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