最初はそんなに気にならないと思ってた、でも、ずうっとだと。
何かが喉を通ると、首にかかってる輪があるのを実感することになる。
声を出して喉を動かすと、何となく首につっかかる。
嫌だ。
久し振りに会ったカインズと、それからボーンさんが話を聴いてくれて、
ボーンさんが考えてくれた、「外そうとすると絞まるなら、
絞めようとすれば外れる」って説を試してくれたとき、
首輪がぴったり喉にくっついて、このまま唄えなくなるんじゃないかって
すごく、すごくどきどきした。
うずうずして外そうとしたら、(きっとそれが思わずでも)絞まっちゃう。
これはたぶん、とても悪いことなんじゃないだろうか。
でも、カインズの笑った顔とボーンさんの言葉に、
元気付けてもらったような気がする。
そうだ、少なくとも、俺は今こうして、窓から部屋を抜け出して
街の中を自由にうろうろすることが出来てる。
この首輪をなくすまでは、首輪を外す最終手段がお兄さんである限りは、
まだ手の届くところにいてあげることにする。
捜しに来たらついて戻って、つい買ってしまった
いつもの店の甘いチョコレートを土産にあげて、
ちゃんと飯も食べて、眠って、また出かけて、それから……
そういえば、カインズは先月誕生日だったんだそうだ。
22歳になったんだって。道理で、何となく大人っぽく綺麗になった。
来年はちゃんと、当日に祝ってあげられたら良い。
…ボーンさんが寂しがってたけど、それ、ほんとに
「男のせい」だったのかな。
■潮風の港街にて■
(カインズ、ボーン)※後半欠損
(以下、走り書きがたくさん続いている。
メモのようだ。読めそうな文字は少ない)
…輪を外せそうな方法…
…3つ…心当たり…魔術…
…帰りに寄った店…道具…
…俺の…

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