土に還った身体は、天に昇った心は、それからどこへ行くんだろう?
ダークエルフさんの宣告通り、今日の夜にはそんな死者が本当に蘇ったらしい。
俺が世界樹まで出かけたのは、そんな騒ぎも収まった後だったけど、ただ、街の喧騒や様子や囁かれていた話や、そんなものがその事実を物語っていた。
俺とおんなじく実際にその光景を眼にはしていないというアトネビ(俺より若く見えるのに、立派な発明家さんなんだそうだ。でも一個見せてもらったその発明品は、何と言うか、個性の塊みたいな感じだった)と、それから世界樹という聴客のもとから、街に向かって吹く風に乗せて、鎮魂の子守唄を弾く。
土に還った身体と天に昇った心が世に舞い戻って、それがもう一度戻らなければならなくなったとき、彼らが少しでも安らかに眠ることができるように。
その中に知った顔があったかどうかは確かめていない。
あったとしても、なかったとしても、その人達皆に、どうか静かなおやすみなさい、を。
■世界樹の下で■
(アトネビ)

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