近くに住んでた頃によく通ってた喫茶店、休み中だと思ってたら、夏に子どもさんが生まれたんだって。
それを教えてくれたのは、以前に城塞の都で出会ったルドゥだった。
そういえば、彼は城塞の向こうの出身ではあるものの、今は街で暮らしてる冒険者さんだと言っていたっけ。
買い物帰りだったルドゥにパンをわけてもらいながら、ちょっと弦の調子を診ていたとこを心配してもらったり、今彼が請け負ってるっていう依頼の話をしたりする。
知り合いの冒険者さんが、魔法剣を欲しがっているらしい。
魔法剣そのものか、魔法剣を作るための材料になる鉱石…エレメナイト鉱石、という名だそうだ…を探していて、可能性がありそうな場所は遺跡か迷宮、それにデス・ヴァレー、というとこまでは判明しててる。ルドゥはそれを探して、今は遺跡や迷宮に目星をつけてるって。
話を聴いていたら、テイルというエルフのお姉さん(旅の詩人さんだ。背が高くて凛とした印象だったもんで、最初は間違ってお兄さんと呼んでしまった、ごめんなさい)もやってきて、その話に興味を持ったようだった。
まずは情報を集めよう、ってことになって、近くの酒場に駆け込んで、とりあえず唄って喋ってきたんだけど……、結果は、うーん、まずまず、ってことにしとこうか。
余談だけど、俺は唄うのとおんなじぐらい、人の声を聴くのも好きだ。
テイルのお姉さんの声は、さすが堂々としてて、森のざわめきのように気持ち良く響く。
ルドゥの声は、澄んでいてまっすぐに通る。
声や喋り方というものは、その人の特性をよく表していると思う。
■繁華街の噴水広場にて■
(ルドゥ、テイル)

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