ヴァイオリンを預かってから、俺は寝ても覚めてもこの子を構ってる気がする。
おかげで感覚は掴めて来たんだけどね。
その練習に、昼下がりの広場を借りることにした。
意外な陽射しに暑いなと思ってたら、ペリトが通りかかって扇いでくれたんだ。
この前くれた赤いスカーフは、まだ首から外せていない。
心配してくれたペリトには申し訳なかったけど、でも、
ヴァイオリンを演奏する感じが掴めてきてたから、
輪を外すための糸口が掴めそうだって伝えることができた。
共鳴したのは、俺達が座ってた向かいのベンチに置いてあった、
小さなガラス玉。
身体を共鳴させてくれてたペリトの身が心配だったけど、
ちょっとは安心してもらえたと思う。
…ちなみに、次に会った時に今まで通りに戻ってなかったら、
王様のレストランのフルコースを奢る、ってこないだ言ったのは
今日は忘れててくれたみたい。ちょっとだけほっとする。
あ、奢らないって言ってるわけじゃないからね…!
■繁華街の噴水広場にて■
(ペリト)
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