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歌王子の邂逅帳

なりきりチャット「がぁらないとシネマ」HN、ジュニィの日記です

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年明けて

一年が終わって、新しい一年が始まる、騒ぐにはかっこうの材料だ。

■城塞の都・BIG CASINOにて■

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月夜の盗人と湖の話

突き付けられた刃をはね除ける選択をしなかったのは、彼女の声にどこか、申し訳なさそうな気持ちを感じ取ったからだろうか。

フェフェと名乗ったその砂民の女の子は、そう、まるで街にいるときに、パン屋の女の子が声をかけてきてくれるみたいな、そんな普通の声音をしていた。ただ違ったのは、俺の首筋に刃物の感触があったこと。

殺気はなかった。
その感じと彼女自身の言葉の通り、マントを留めるのに使ってた細工の留め金を取り出したら、刃物も彼女も離れていった。それに、こうなるに至った経緯も教えてくれたんだ。

どうやら彼女の住む集落は、毎年このぐらいの時期になると数カ月、地下水が枯渇してしまうらしい。
集落の中で水を確保する術が失われてしまうこの季節には、村人はこうして「稼ぐ」のが常なんだそうだ。

地下水を引いてる近くの湖に原因があると考えて、集落の戦士たちが偵察に行ったことはあるものの、今まで帰ってきた人はいないんだって。それはその湖に何か、危険なことがあるからなのか、それとも別に理由があるのか、帰る人がいないから、正確なところはわからない。そのうち、様子を見に行く人も減って、最近は誰も足を運んでいない。

これから何年も、フェフェやその集落の人達がこうして稼がないといけないのは辛い。
だから、俺もその湖へ様子を見にいってみることにした。

だって、今度は穏やかに月を見上げながら話もしたいし、それに、春には街の桜を見る案内もするって、そう約束したからね!
その桜をいっそう綺麗にするためにもっ。

……ただし、無茶はやらないってのも約束。

■太陽と月の砂漠にて■
(フェフェ)

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ジュジュとラジィ

特別な名前、特別な音、ほかにない特別な宝物というのは、この上なく嬉しい響きを持っている。

それは旅立ちの前、ちょうど聖堂に寄ったあと、雨が降って帰り辛くなった、なんてハプニングも、すっかり忘れさせてくれてしまうくらい。
とは言え、俺も彼女もそのハプニングに巻き込まれた仲間だったから、それを忘れてしまっては、今夜の出会いは語れないんだけどね。

フルネームをラズワルド・ヴェガ(それぞれ空、流れ星、という意味を持つ素敵な音だ)というその冒険者の女の子は、いつもラズという愛称を名乗ってそう呼ばれ、呼ぶ相手にも、彼女独特の呼び名をつけているらしい。

たまたま聖堂で顔を合わせた俺にも、ジュジュ、という心地良い響きの名前をくれた。

俺は自分の名前もそれなりに気に入っているし、名前を呼ばれるのも好き。
でもそれが、その人だけが思う俺を示す音だったら、それはもっと嬉しいって感じる。

特別って良いよね。
だから俺も彼女のことを、ラズという愛称でもなく、ラズワルド・ヴェガという本名でもなく、ラジィ、という俺だけの呼び名で呼ぶことにした。


ちょっとおてんばで、でも神様への愛の深いラジィ。
次に会えるときもきっと元気で、ジュジュ、で呼んでくれるかな。

■山頂の大聖堂にて■
(ラズ)

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理由ある命

場所はずれな小夜鳴き鳥も、今日の満月も、彼女の纏った黒い毛皮も、そこから続く黒い髪も、命の営みに続くものは美しいと思えた。

仕事の帰りに海沿いを通ったら、昼も夜も唄う小夜鳴き鳥がさえずっていた。
森でならともかく、港じゃ見かけるのは珍しいその子を手元に呼んで、そしたら別の通りから、散歩帰りのオーリエンダも捕まえたので、責任もって送っていくことにする。

その道中、ずっと気になってたことを尋ねてみたんだ。
きっかけは、そうだな、美しいものについて話をしたからだったろうか。

命は美しい、とオーリエンダが言ったから、そうだ、聴きたいと思っていた、と思い出した。
彼女の命がついえてなお帰ってきた、その理由、オーリエンダ自身の中にあるその意思。
もしも俺がと考えたとき、きっと帰ってくるには何か理由がある。帰ってきたとしたら、その理由を実現するために行動するんだと思う。

でもオーリエンダは、顔を合わせたら相手をしてくれるし、まるで以前とほとんど変わりなくて、もしも理由や意思があったとしたら、それがちゃんと果たせてるのか、俺と話をしてる時間も、ほんとはその目的にあてたいんじゃないだろうかって、そう心配になったからだ。

教えてくれたその目的は、すぐにも叶うものではなさそうだった。
叶えるために動くんじゃなく、叶う時を待っているように見えた。


叶うにはまだもう少し、と彼女は言う。
それなら今までみたく、それまで重なった時間をゆっくり共有しても良いのかな。
まんまと取り付けた、次の約束の時にも。

…ついでに、責任持ってって言っておいて、結局まっすぐ送らなかったのも、許してもらえるかどうか交渉しておこう、今度。

■潮風の港町■
(オーリエンダ)

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HN:
ジュニィ
性別:
男性
職業:
歌唄い

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