遠い約束

酒に弱いというのは、ふだん、あまり知られたくないところを、
それでたやすく露呈してしまうということだ。

リッキーの言うところの、酷い男だという印象は、
恐らくそれが僅かでも露呈してしまったということだろう。
今度はもっと気を付けておかないとならない。

でも、ねえ、忘れるべきだと思ってかかっているうちは、
歌をうまく唄えるようになるぐらいで、彼女がそれを忘れられるわけがないと思うな、本当。
忘れるまではと腹を括っちゃえば、いっそ開き直れるんじゃないだろうか。

経験則かどうか？内緒。

■城塞の都・都のバザールにて■
（リッキー）

ダンサーとウタウタイと

何となく心魅かれた笛を衝動買いして吹いてみてたら、
金にならなそうな音だったとロッカードに言われる。
悔しいので、練習しておこうかと思う。

それはそうと、慣れてたからそれが当たり前になってたけど、
セイは俺のことをウタウタイと呼ぶことが多い。
唄ったことを印象に残してくれてるからだそうだ。
ロッカードが、いずれダンスを見てもらって、ダンサーと呼ばれる日が来ると良いな。

■城塞の都・都のバザールにて■
（ロッカード、ギンモクセイ）

決闘の行方

昨夜行われた、闘技場での決闘試合では、
一方が自決して終了した、という速報があった。

観客席に居合わせた、骨董屋のイリュースさんによれば、
その話は真実で、その場も驚愕と混乱に包まれていたらしい。
客席にも居合わせず、決闘した2人のことを知らなかったアンジェリカは、
もしも殴れるなら自決した者を殴りたいと言っていた。

2人とも、しばらく見ていなかった顔で、原因や動機は俺にはわからないことが多い。
はっきりわかるのは、自決した彼が死んだことが寂しいということ。


街に行ったら「魔宝堂」を覗いてみること。
アンジェリカの所属する「砂漠の薔薇隊」のますますの活躍を祈ること。

■城塞の都・都のバザールにて■
（アンジェリカ、イリュース）

いつか

しばらく忘れていたけど、ピラミッドについて伝承なんかを調べてみようかと、
古書屋さんを見にいったら、ダイアモンドと出会った。

思い出の話や、逃げるって話や、いつか訪れるかも知れない未来の話をかわす。
偉そうなことをたくさん言った。
俺も人のことを言えた義理じゃないって、解ってはいるんだけどね。

彼女の髪からは、仄かにジャスミンが薫った気がした。

■城塞の都・都のバザールにて■
（ダイアモンド）