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歌王子の邂逅帳

なりきりチャット「がぁらないとシネマ」HN、ジュニィの日記です

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漆黒の羽根をもつ

緩やかな丘の上にある見晴台は、最近の気に入りの場所のひとつ。

普通にしてても街が一望できるのはもちろん、ちょっと危なくはあるけど、手摺に座ったり、その上に立ち上がったりすると、もっと遠くまで見える気がして何となく、嬉しくなるんだ。

日も落ちかけた夕方から夜にかけて、今夜はゾーイと一緒にその景色を楽しむことができた。
手摺に立ち上がって街を見下ろす光景を、人間に選択を迫る魔王になぞらえたゾーイは、はじめに俺の方が魔王か、って言ったけど…、黒い衣を風にはためかせながら立ってるゾーイと、質素な格好で竪琴を持ってる俺と、どっちがそれらしいかって言ったら、ねえ、言わずもがなだと思うよ。

彼いわく、それじゃ普通過ぎてつまらない、だそうだけどね…!

ただ、ほんとは魔王というよりも、飄々としたカラスさん、という印象が俺には強かった。いずれ語り紡ぐと約束したゾーイについての歌は、なので、もしかしたら魔王の歌じゃなくカラスさんの歌になるかも知れない。


なんて、できてみないとわからないけど。
今夜のところはとりあえず、ゾーイがお喋りという肴に満足してくれてれば、それでよしとしておこうか。

■マルチルーム・見晴台にて■
(ゾーイ)

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鈴の記憶

記憶がなくなってしまうということは、それまでの軌跡がなくなってしまうということだ。

少なくとも、自分自身の中からは拾えなくなってしまう。だから、もしも自分がそうなったときのことを考えると怖いし、想像している今以上に、そうなった俺は不安がっていることだろう。

酒場で出会った、いっしょに連れている鈴の音が印象的なティティナが以前の記憶をなくしていると聴いたとき、そんなふうに不安がっていたり、後ろ向きになっている様子がなかったことに、だからまず驚いた。

同じく酒場に、上の宿から下りてきたレイヴにも、それは思わず感心するとこだったみたい。そりゃそうだよねえ、だって、それでも支えてくれる周囲の人達のおかげで今の自分が在る、と胸を張って言えるティティナの言葉の、なんて力強いことか!

それでもやっぱり最初は、不安もあったり泣いたりもしたらしい。けど、あたたかかった周囲の人達と、相棒だという黒猫さん、そしてきっとティティナ自身の中に残っている以前のティティナ、そのすべてが彼女をこうして前向きにさせている。

きっと彼女は大丈夫だな、と思えた。
それから、もしも俺やレイヴが同じ状況になったら、きっと信頼を置く友達として、ティティナの周囲の人のようにお互い支え合えるだろう、ともね、とても幸せなことに。


お気に入りの絵本の話や相棒の話をして、ティティナは先に上の宿に戻って、それからほんの少しレイヴに歌を聴いてもらう。
いつも心地よさそうに聴いてくれる彼女の表情を嬉しく眺めながら、そういえば、ティティナの仕草や言葉に、東のものが時折混じった気がする、と何となく思い出していた。

■冒険者達の酒場にて■
(ティティナ、レイヴ)

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元気と優美は同居するか

元気な踊り娘さんだなあ、と思ってた、こっちまで元気にしてくれるような踊りだ、って。

以前いつか、たまたまこの酒場で舞台を見たことがあったセレニア、ってその女の子と、今日はたまたまタイミングが合って話すことができたんだけど…、元気って褒め言葉はいつも言われているから、彼女自身はたまにはもっと違う褒め言葉が欲しい、と思ってるようだった。

見ている誰かまで元気にしてしまえる明るさ、それに笑顔をして元気というのは、彼女にぴったりの褒め言葉だと俺は思う。きっと今までそう褒めてきた人達も、そんな意味を込めて言っているのだろう。

……ただ、その辺はやっぱり複雑らしい、女の子としては。

やがて休憩を終えて舞台を再開するセレニアに、だから元気な曲のほかにも、俺のわりと得意なゆったりめの曲を贈ることにする。その結果、彼女が元気という以外の褒め言葉をもらえたかどうかは、ふふ、推して知るべし。
寒い中でおそろいのホットココアを飲んで一緒にあったまった仲だからか、息はぴったり合ったよ、ってことだけ記しておこうかな。


そうそう、今夜の舞台の観客の中にはセレニアの知り合いもいた。
ラハルというお兄さん(この街に来て2月ほどらしい。物腰穏やかで、大人って感じのお兄さんだ)で、どうやら近く、セレニアの護衛をするんだって。

行き先は砂漠の向こう、城塞の都。
都の踊りを見たりして楽しんでくるってことだったから、俺が向こうでの生活で覚えた、踊り娘さん達がよく舞台にしてる場所や、それぞれの人達の簡単な特徴なんかを、覚えてる限りの見取り図と一緒に書き込んで渡す。


あのラハルのお兄さんが一緒にいるなら、道中はきっと心配ないだろう。
後は、彼女が心から楽しんで来るのを願うばかり。
俺ももうひと月ほど、聖夜のために増える仕事をできるだけ受けたら向こうに帰って、年の終わりはのんびりするかな。

■冒険者達の酒場にて■
(セレニア、ラハル、(ナイト))

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東の商人

彼をどっしりと肝の据わったふうに見せるのに、名前に入った竜という文字は、きっと一役かっているんじゃないだろうか。

東に生まれ、商人として各地を渡り歩いてきたっていう、くずりゅうのお兄さんに出会ったのは、砂浜で探し物…面白そうな形をした石や貝がら…をしてたときだった。

色んなところを回って落ち着いたこの冒険者の街は、薬の行商のお兄さんにとってもお客さんの多い、なかなかに暮らしやすい街らしい。傷薬はもちろん、悪いものを食べたときに使える腹の薬も売れてるんだって、確かに、冒険者さん達は比較的、ちょっと古くなったもんでも平気で口に入れたりする傾向がある気がする。

商売の話を聴いたり、俺の隻眼のことを心配してもらったりした。
魔法で治療する術がないのか、と聴いてもらって、そういや以前に一度、魔法や錬金術でどうにかする方法があるだろうか、と考えたことがあるのを思い出す。

結局は、まったく見えなくなったわけじゃないし、片方が残ってるなら十分かな、と思い直して、その方法も詰めないままこうして今に至っていて、きっとこれからも詰めることはないだろうな、と思ってるけど、くずりゅうのお兄さんが、それを清貧なんて立派な言葉で表してくれたもんだから、何となくちょっと恥ずかしくなったな。


でも、山奥を流れる清流を身のこなしに写したんだろう、と言ってもらったのは、素直に嬉しいと思えた。俺の故郷は山と森の深い、この街よりも少し北にある国で、それを俺が表すとき、決まって田舎だ、と言う。

そこに込めたのが故郷への思慕だと汲み取ってくれたのが、きっと何よりも嬉しかったんだ、うん。

■潮風の港街にて■
(くずりゅう)

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ジュニィ
性別:
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