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歌王子の邂逅帳

なりきりチャット「がぁらないとシネマ」HN、ジュニィの日記です

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時間は流れるもの

静かだと止まってるように感じても、時間というのは、気付いたら流れているものだ。

何時頃に酒場に来て、何時頃に歌を始めたのかは覚えてた。
何時頃に歌を終えたのかは何となく。
その後何時頃から、そうしてぼおっとしていたのかは覚えていない。

紅茶はちょっと冷めていた。
時がゆっくり流れたって以外、詩も曲も考えてたわけじゃなかったし、書いたものも何も残っていない。

ただ困ったことに、そんな何もない時間ってのが、とても幸せだったりするんだよね。
ただ困ったことに、毎日そうぼおっとしてばっかりはいられないってのは、これはジレンマかも知れないけどさ。

■冒険者達の酒場にて■

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夢が現なら、金糸雀も猫に牙を剥く

呪い師のひとりは俺を金糸雀と表し、もうひとりはただ小鳥さん、と表した。

ただし前者、スライマーンのお兄さんは今、何か大事なものを手に入れた代りにその力を、俺を城塞の都で助けてくれたときよりか、幾分も弱めてしまったらしい。それこそ後者、スライマーンのお兄さんのほかのもうひとりの呪い師、オーリエンダが例えたように、不死鳥が細って小鳥になったみたく。

思いつきで弟子入りを志願したお兄さんは、今夜はほかの方法を探すことに決めたそうだけど、オーリエンダは力を取り戻すための別の方法も知ってるって言ってたし、きっと望みはあるんだろうと思えた。
力はなくしても相変わらず、俺のことを心配してくれてたみたい。彼なら、手に入れたっていう大事な宝物と共に、その優しい性質できっと、前向きにやっていけるような気がする。


……そのお兄さんが、オーリエンダがいなくなったことに関わってたのには、さすがにびっくりしたけど。

いや、それよりか、森を歩いてる彼女を見かけて、前と変わりない声で喋るもんだから、スライマーンのお兄さんがちゃんと教えてくれてなかったら、まだそれが夢か幻だと思っていたかも知れない。

黄泉返ったそうだ、と、スライマーンのお兄さんはそう言った。
それでも驚いたのが抜けなくて、彼女が喋る間はずうっと、その言葉尻が夜に消えていきやしないかと耳を傍だてていたし、俺にさわろうとする指も、俺がさわろうとした髪もすり抜けるんじゃないかと疑ってもいたけど、そのどれもが杞憂になった。


びっくりしすぎて、頭ではよく考えられていない。
本当は、夢でも幻でも良かったのかも知れない。
ただ、彼女が間違いなく温かかったから、きっと他の考えを上塗りするぐらい、俺は嬉しく思っていたんだろうと思う。

いつまでも覚めなかったから、夢じゃないとわかった。
噛みついたら傷ができたから、彼女に血が流れているとわかった。

血を見て安心したのは初めてだ。
オーリエンダは間違いなくそこにいた。

……痛くしてごめん、なんて、謝ってなんかやんないんだから。

■エルフの森にて■
(オーリエンダ、スライマーン)

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喋る傘

もしも傘が喋ったら、忘れられることも少なくなるだろうか。

そんな話をしたのは、雨が降ったのに傘を忘れて出て来た夜。
聖堂で雨宿りをしてると、書庫で本を漁ってたらしいラクチェと出会った。

物語が好きな彼女(そういえば、こんな話は前にもしたことがあったっけ)に聖堂の書庫についてと、それから本について話をしてた中で、そう、たぶん傘と忘れ物の話になって、喋る傘があったら、ってことになったんだ。

聖堂じゃ、参拝客さんが忘れてった傘を貸し出してもらえる。
さされるために作られた傘も、そうしてほんとの目的のために使ってもらえるのは本懐だろう。でもやっぱり持ち主さんに忘れてかれちゃうのは寂しいんじゃないか、ってちょっと思うから、もしも傘が言葉を喋ったら……忘れられそうになったら主張できる口がついてれば、もしかして傘の忘れ物も減るんじゃないかな、って。

よく考えてみれば、口がついてたらきっと、そんな機会じゃなくても傘は喋るだろう。
開発してみたら、なんてラクチェには安易にアドバイスしたけど、実際にできたら、うーん、ちょっと辟易しちゃうかな、なんてね。


ラクチェは実際には不精なところがあるけど、見た目はとても真面目そうに見える。
俺が思っているその性質を伝えたら、何か言いたそうな顔をしていた。
ふふ、でも文句は言えないでしょ?正解で間違いないんだからさ。

■山頂の大聖堂にて■
(ラクチェ)

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掃除計画と探しもの

人にはそれぞれ得手不得手というものがあって、とりわけ俺にとって、家事全般は得手にあたる。

錬金術師のシェリルにとっては、しかしそれは不得手にあたったようだった。
見知りの俺の姿を窓から見かけて、屋敷の掃除を喜んで放って出て来た嬉しそうな顔を見たら、そりゃ一目でわかろうってもの。

整理整頓が苦手なのに加えて、職業柄本なんかが溜まりやすい彼女の部屋は、どうもなかなかすごいことになっているらしかった。とりあえず、掃除についての助言と手伝いをする約束をしたところで、探し物をしてるらしいロマに出会う。

探してるのは、以前もおんなじように探していた「大虎」。
ただし今回は、牙の形の装飾品じゃなく、子猫の姿。

初めて知ったことだったけど、大虎さんてのは、何とロマの父さん(の意思が、姿を変えて傍にいてくれる存在)なんだそうだ。いなくなったのを必死に探すロマの様子に納得がいった。
周囲を探しても見付からなかったから、声を張って呼んでみたら、その他大勢の子猫さんたちと一緒に、大虎さんも姿を見せてくれたので、ほっと一安心っ。

シェリルも言ってたけど、自分から行動できる猫の姿となった今、あんまりロマに心配な顔をさせないで欲しいとこだよね、うん。


掃除計画を立てついで、彼女の唯一の得意料理をごちそうになるために、ロマと一緒にシェリルの家にお邪魔した。
家に入って振り返ったら、さっき呼び寄せた子猫さん達もついてきてたもんだから、童話の中の笛吹きみたいになった気分だったよ。

■繁華街の噴水広場にて■
(シェリル・リン、ロマ)

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ジュニィ
性別:
男性
職業:
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